完璧な提案書が却下される理由
寝る間も惜しんで作り上げた渾身の提案書が、まるで中身を読まれた形跡もなく、アッサリと却下されてしまう。「社内で検討しましたが、今回は見送ります」の一言で、この提案はゴミ箱行きになってしまいます。
多くの真面目な営業担当者が陥る、深く、そして暗い沼です。あなたがこれまで信じてきた「ロジカルな説得術」が、実は顧客の組織内では全く通用しないケースがあるという衝撃の事実をお伝えします。
見えざる"社内プロトコル"の正体
お客様の社内には、一般的な正論やデータよりもはるかに優先される、独自の"コミュニケーション・プロトコル"が存在します。
プロトコルとは、ここでは「作法」や「慣習」「暗黙のルール」のことです。一つ一つの会社にも、意思決定における独自の文化や力学、つまり「物事の通し方」があるのです。
あなたがどんなに美しいロジカルシンキングを駆使しても、この社内プロトコルに沿っていなければ、その提案は「異物」として扱われ、決して受け入れられることはありません。
提案を判定する3つのプロトコル
【鶴の一声】属人承認タイプ
特定のキーパーソンが「良い」と言えば、全てが決まるプロトコル。攻略すべきは、ただ一人。そのキーパーソンの価値観や関心事に響く提案が必要です。
【赤信号、みんなで渡れば】横並び意識タイプ
他社の動向を非常に気にするプロトコル。「他社もやっている」という事実が、どんな精緻なROIよりも強い説得力を持ちます。
【昔、この道は来た道じゃ】前例踏襲タイプ
過去の成功体験を絶対的な基準とするプロトコル。あなたの提案が「あの成功事例の再来」であるかのように見せかける物語が必要です。
魔法の質問で社内プロトコルを解明
「この件について、これまで社内では、どのような議論がなされてきたのでしょうか?」
この質問を最初のニーズヒアリングの時にさりげなく会話に盛り込むのです。過去の取り組みの経緯と社内議論の中には、その会社で「承認されるロジック」と「却下されるロジック」の歴史が全て詰まっています。
提案の説得力とは、お客様の組織という"生き物"の呼吸や脈拍を、いかに深く理解しているかという洞察力の中に宿ります。明日から、この静かな問いかけを追加してみてください。
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